地方移住をする際に、国や自治体から補助金がもらえるかもしれないってご存じですか?
東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)は、高度経済成長期、バブル期、2000年以降と一時期を除いて人口の転入超過が続いている一方、地方では人口減少、少子高齢化が深刻化しています。
昨今は新型コロナウイルス感染症の流行によって東京圏の転入超過数は減少傾向にありますが、国は東京圏への一極集中を是正すべく、引続き地方移住を推進しているのです。
そのための支援金や補助金の制度が用意されていますが、ちょっと分かりにくい部分も・・
- 国が創設した支援金制度
- 各自治体の補助金制度
- それらを利用する際の注意点
について、まとめてみました!
国が創設した移住支援金と起業支援金の概要と注意点
まずご紹介するのは、国が地方創生を推進するために創設した移住支援金と起業支援金の制度です。
この2つの支援金に共通することはこちら。
- UIJターンいずれも対象だよ
- 移住先に長く定住することが前提だよ
- 働くことが前提だよ
- 2019年度から6年間を予定している制度だよ
移住支援金 (地方創生移住支援事業)
移住者に、最大100万円以内(単身の場合は60万円以内)で移住先の都道府県が設定した額を支給するものです。
支給条件は次の通り。
移住前の条件
- 東京23区内に在住していた。
- 東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の条件不利地域以外)から東京23区へ通勤していた。(雇われていた場合、雇用保険被保険者が対象)
- 上記1,2いずれかの期間が、住民票を移す移住直前の10年間で通算5年以上、且つ移住直近の1年以上
移住先の条件
- 移住地
-
東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域
- 期間条件
-
- 移住後(住民票を移して)3か月以上1年以内に申請すること
- 申請後5年以上、継続して移住先に居住する意思があること
- 就業条件
-
以下の1~4いずれかに該当すること
- 地域での中小企業等へ就業(都道府県のマッチングサイト※1に掲載されている求人、プロフェッショナル人材事業、先導的人材マッチング事業のいずれかを利用して)すること。
- テレワークによる業務継続(自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を継続すること。異動等、会社の指示によるものは対象外。)
- 市町村ごとの独自要件(地域と深い関りがある者として市町村が認めること※2)
- 地方創生起業支援事業を活用(1年以内に起業支援金の交付決定を受けていること)
※1 都道府県のマッチングサイト→「移住支援金 マッチングサイト 〇〇県」で検索してみると該当サイトを確認できますよ。
※2 これを「関係人口」と呼んでおり、この記事の「 支援金利用の際の注意点 」で少し触れています。
起業支援金(地方創生起業支援事業)
移住先で、地域に貢献する社会的事業を立ち上げる方を対象に、起業に必要な経費の1/2相当の支援金(最大200万円)を支給するものです。
支給条件は次の通り。
新たに起業する場合(以下3点すべて満たすことが条件)
- 東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域にて、社会的事業を起業すること
- 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人設立をすること
- 起業地の都道府県内に居住、又は居住予定であること
事業継承又は第二創業する場合(以下3点すべて満たすことが条件)
- 東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域にて、Society5.0関連業種※2等の付加価値の高い分野で、社会的事業を事業継承又は第二創業すること
- 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、事業継承又は第二創業すること
- 本事業を行う都道府県内に今日中、又は居住予定であること
※2 AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)等の進展による全体最適化により、社会問題の解決や新たな価値創造をもたらすことに貢献する業種
該当する業種がちょっと分かりにくいかもしれませんね・・
山梨県を例に、実際どんなものが支援対象になったか、直近2年間の一覧をはっておきます。
まとめると、
- 移住促進
- 観光促進
- 教育・福祉
- 農業支援・販売促進
など、地域活性化に繋がる事業が多いですね。
支援金利用の際の注意点
これらの支援金を利用するために、知っておいた方がいい注意点があります。
支援を実施していない自治体もある
移住支援金と起業支援金は、各自治体の予算の範囲内で行われています。
そのため、
- 対象者でも支援を受けられない可能性がある
- 支給額も異なる
ので、ご注意ください!
例えば、山梨県では令和3年度は昭和町が実施対象外でした。
こちらの一覧からも実施しているかどうか確認できます。
自治体によって独自の条件を定めていることがある
細かな支給条件は自治体の定めによるものとされているので、年齢制限があったり支援範囲が異なっていたりします。
例えば、移住支援金の就業条件の一つである、地域と関りがある者として市町村が認める「関係人口」。
一体どのようなものが該当するのかちょっと分かりにくいですよね
一例を挙げてみます。
「関係人口」の例
- 静岡県御殿場市:移住前に御殿場市内で御殿場市農家民宿推進協議会が提供する農家民宿に宿泊し、農村体験プログラムへの参加経験を有する者
- 長崎県新上五島町:ふるさと納税者、お試し住宅利用者、ワーケーションモニター参加者、インターンシップ参加者、田舎暮らし体験ツアー参加者、しまナビ等の来島者、地域課題解決への参加者、町内で兼業か副業を行っている或いは行っていた者、スポーツ合宿参加者、東京・大阪等の町人会員
- 富山県南砺市:南砺市応援市民に登録している者(登録要件:南砺市外に在住する方であること、南砺市を愛していただくこと、南砺市への応援活動を実施していただくこと)
中には「SNSをフォローしている方」なんてのもあって面白かったです。
返金規定がある
支援金制度には、返金規定も定められています。
- 申請内容に、虚偽その他不正な行為があった場合
- 一定期間内に転出、または当該補助金の要件に該当する職を辞した場合
などに該当する際は、全額または一部が取り消され、返金を求められることを覚えておきましょう。
課税対象である
移住支援金、起業支援金は、いずれも課税対象になります。
参考:別紙 地方公共団体の地方創生起業支援事業及び地方創生移住支援事業に基づき支給される各支援金の課税関係について
地方自治体が独自で行っている補助金制度
ここまで、国の事業である補助金について説明してきましたが、各自治体が独自で行っている補助金制度もたくさんあります。
- 住まいに関する補助
- 子育て支援
- 起業(就農)支援
などがあります。
どんな支援をしているかは、各自治体のホームページに掲載されています。
しかし、まだ具体的に地域が定まっていない人には、JOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)のサイトが参考になりますよ。
特に、子どもがいる若い世代にとって嬉しい支援が多い印象です。
前述の移住支援金・起業支援金と、各自治体の支援金・補助金を併用できるかどうかも要チェックです
まとめ:条件に当てはまるかよく確認して計画的に進めよう
以上、国や自治体が移住者に行っている支援金・補助金制度についてまとめました。
支援金や補助金ありきの移住ではないと思いますが、あるものは活用すべし!
事前に条件を把握しておくことで、「もう少し早ければ申請できたのに~」「支援対象だったなんて・・」と後から後悔することを防げます。
ぜひ、ご自身の移住希望地の状況を調べてみてくださいね!