住まいを二か所、もしくはそれ以上もつ暮らし方。
二地域居住、二拠点居住(二拠点生活、デュアルライフ)、多拠点居住、週末移住・・さまざまな呼び方があります。
多くの自然災害や新型コロナウイルスのようなパンデミックに脅かされる今、二地域居住は益々注目されています。
以前、日本の三地域に家をもち、それぞれの地域の一番良い季節に合わせて移り住んでいる方の話を聞きました。
そんな暮らしができたら安心だし最高だなぁと憧れたものです。
良いイメージが先行しがちの二地域居住ですが、どんなメリットとデメリットがあるでしょうか?
実践する前に、メリットとデメリットを天秤にかけて、よく考えてみる必要がありそうです。
では具体的にみていきましょう!
二地域居住とは?二拠点居住との違いは?
まずは定義の確認を。
国土交通省によると、
都市住民が、本人や家族のニーズ等に応じて、多様なライフスタイルを実現するための手段の一つとして、農山漁村等の同一地域において、中長期、定期的・反復的に滞在すること等により、当該地域社会と一定の関係を持ちつつ、都市の住居に加えた生活拠点を持つこと。
とされています。
主体は「都市部の住民」で、「都市部」と「農山漁村等の同一地域」の二地域間の住居ということがポイントです。
一方、似ている言葉で「二拠点住居」がありますが、これは都市部で二か所、農村部で二か所であっても該当しますね。
しかし、二地域居住と同様の意味合いとして、二拠点居住やデュアルライフという言葉の方が、一般的になっているかもしれませんね。
二地域居住のメリット・デメリット
続いて二地域居住のメリットとデメリットをみていきます。
メリット1:日常と違う生活をあじわえる
普段は都会の人口密度が高いところで生活し、仕事は満員電車に乗り・・正直、それだけで疲弊します。
そんな日常から離れ、自然豊かな空気を吸い、散歩したり土いじりをしたりするだけで、すごくリフレッシュできるでしょう。
そうしてリフレッシュすることで、日常の生活をまた頑張れるでしょうし、メリハリのある生活をすることで良いアイディアが浮かぶなど、仕事への良い影響にもなるでしょう。
子どもがいれば、広々とした田舎でのびのびと遊ばせることができます。
都会では、公園でさえ、禁止事項がたくさんあって「一体何をして遊べばいいの?」という状態ですね・・。
子どもも思いきり羽を伸ばすことができるでしょう。
メリット2:どちらか一方の災害等による非常事態に備えられる
地震、大雨、台風・・。
災害がどんどん増えている昨今、住まいを二地域に構えることはリスクヘッジに繋がります。
宿泊施設などとは違い、
「いつでも行ける」自分の場所。
非常事態にそんな場所がもう一か所あると、とても安心です。
メリット3:将来的に地方移住を考えている場合は足がかりになる
将来、地方に移住したい・・だけど本当にうまくやっていけるか不安。
そんな方も多いのではないでしょうか。
地方移住希望者に「二段階移住」をオススメする声も、よく聞きます。
その意味で、二地域居住は将来の移住に向けて、良い足がかりになります。
二地域居住としてその地で生活する中で、田舎暮らしノウハウを身につけたり、地域の住民とコミュニケーションをとったりすることができます。
憧れだけでは失敗するかも・・と心配している人にとって、自分が田舎暮らしに向いているか確認できるとても良い機会になるのではないでしょうか
デメリット1:コストがかかる
デメリットの一つ目は、コストの問題です。
- 住まい・・家を借りたり買ったりする住まいに関するコスト
- 生活必需品・・寝具、家電製品、掃除道具、調理道具などのコスト
- 交通費・・二地域居住先までの電車・新幹線代、車ならガソリン代・高速代などのコスト
- 水道光熱費
主にこれらの費用が必要になります。
住まい
住まいに関する費用は一番懸念される点ではないでしょうか。
少し古いですが、下記は国土交通省の平成24年度 社会情勢の変化に応じた 二地域居住推進施策に関する検討調査の抜粋です。
二地域居住実践者の約3分の1が、初期費用「100万円程度以下」で実施していることが分かります。
中にはホテルを利用という人もいますが・・
- 空き家や集合住宅を借りたり
- 空き家になった実家を利用したり
が多いですね。
もう少しだけ費用をかけてもいいから、さらに自由度や田舎らしい暮らしを求めたいという場合は、古民家を購入するのがオススメです。
無料で空き家の古民家を提供している自治体などもありますよ。
ただし、古民家の場合は多くが無断熱のため、快適に暮らすことが難しく、結果的に足が遠のいてしまうことがあるので注意が必要です
これについて面白い取り組みをしているなぁと思ったのは、千葉県南房総市にあるNPO法人南房総リパブリックの活動です。
空き家のオーナーさんにコンタクトをとり、二地域居住の住まいとして活用したり、無断熱の古民家をDIYでエコなリノベーションをするワークショップなどを開催したりしています!
生活必需品
住まいを二つ以上もつということは、家電製品や寝具などが、それぞれの家で必要になるということですね。
これはコスト的にも大変ですし、ちょっとエコでもありませんね。でも、やりようはあると思います。
例えば、次のような方法。
- 中古製品を購入する
- 食事は買って行ったり作って行ったりして持ち込む
- 荷物にならないものは都度持ち込む
- 洗濯は手洗いするかメインの家でのみ行う
どれだけ長く滞在するかなどによっても、できることとできないことがありますが、コストを抑える工夫はできそうですね。
交通費
交通費は、当然ながら往復する頻度が多ければ多いほど、コストがかかってしまいます。
どこに二拠点目を設けるかによって変わってくるので、二地域居住を計画する段階で、交通費がどれだけかかるか考えておく必要はありますね。
水道光熱費
水道光熱費も当然かかってくるのですがちょっとびっくりな情報があります・・
群馬県長野原町では、定住している一般家庭と、二地域居住などで別荘利用している家庭で、水道の基本料金が違うんです。
基本料金(20 立方メートルまで):一般家庭用の2.4倍
超過料金:一般家庭用の1.67倍
※参考:https://www.town.naganohara.gunma.jp/www/contents/1359523662694/files/ryoukin_10.pdf
このような長野原町の水道料金や熱海の別荘税などのように、税金を徴収する自治体もあるのでチェックしておきましょう!!
デメリット2:移動の時間がかかる
移動時間は、二地域目の拠点の利用頻度や滞在期間によって、よく考える必要があります。
中には、首都圏から北海道や沖縄に拠点を構える方もいるようです。
しかし、まとまった休暇がとりやすかったりテレワーク中心だったりしない限り、利用頻度は少なくなります。
週末利用が主な目的な場合は、2,3時間程度で移動できる距離が現実的ではないでしょうか。
あまりに遠いと、せっかくの二地域居住がストレスになりかねません
デメリット3:建物まわりの管理負担がある
二地域居住先に到着して、まずやることといえば・・
- 布団を干したり家の掃除をしたり・・
- 庭の草刈りをしたり・・
なんて話を聞いたことはありませんか?
地方でリラックスして過ごしたいはずだったのに、そんなことに追われて疲れてしまうなんてことが起こりえます。
それも含めて楽しめるならいいですが、負担が大きくならないように、所有するモノを少なくしたり、コンパクトな家に住んだりするといいかもしれません。
実は我が家も夫が二地域居住予定者です
実は我が家も、都内の仕事をもうしばらく継続する関係で、夫だけ二地域居住をする予定です。
移住先の山梨県北杜市から、都内に毎日勤務されている方もいるそうです
勤務形態などによってそれも可能だと思いますが、夫の場合、朝が早かったり夜が遅かったりすることもあるので、毎日片道2時間は負担が大きそう・・
テレワークできることもあるし、たまたま山梨にもお客さんの企業があるので、週の半分は移住先にいれるといいです。
なかなか大変でしょうけれど、元々都会好きだけど田舎の良さも知った夫にとって、いいとこどりの暮らしになるかもしれませんね。
移住後都内の会社を退職して独立したので、夫の二地域居住は約3か月のみになりました。なるべく都内の予定を集中させて、月に2,3度マンション生活をしていました。
この時の体験談もまた別途記事にしてみたいと思います!
まとめ:二地域居住はライフスタイルを考えて選択しよう
二地域居住のメリット・デメリットを改めてまとめてみます。
- メリット1:日常と違う生活をあじわえる
- メリット2:どちらか一方の災害等による非常事態に備えられる
- メリット3:将来的に地方移住を考えている場合は足がかりになる
- デメリット1:コストがかかる
- デメリット2:移動の時間がかかる
- デメリット3:建物まわりの管理負担がある
以上のように、都会暮らしをしている身としては、メリットが大きく感じますが、デメリットも見逃せませんね。
ある程度の費用はかかりますし、気力や体力も必要になるでしょう。
しかし、多少の手間や不便さを許容したり楽しんだりすることができれば、二地域居住を実現・継続することが可能です。
自分のライフスタイルやどんな二地域居住をしたいか・・これらを見極め選択することが、二地域居住がうまくいくかどうかの分かれ道ではないでしょうか。